妊娠が判明したのは、富山への移住直後。夫が職探し中で、私は転職してまだ初日も迎えていない状況でした。正直、お金と環境が本当に大丈夫だろうかという不安でいっぱいでした。

でも、考えても始まらないので、とにかく情報を集めることにしました。出産費用はいくらかかるのか、どんな制度で賄えるのか、転職したてでも社会保険は使えるのか——。漠然とした「ちゃんと育てられるのか」という不安を、一つ一つ紐解いていったんです。

そうしたら見えてきたのが、本当に大事なこと。

制度を知ること

出産に関する漠然とした不安のほとんどは、自分たちが使える制度やお金を知らないことが原因でした。

出産費用は、今の日本の制度ならほとんど自己負担がありません。出産育児一時金で賄えるし、高額療養費制度もある。保険の見直し、社会保険の内容を知ることで、貯金をほぼ使わずに出産できました

つまり、妊娠中にやっておくべきことは、物理的な準備じゃなくて、情報を集めて、制度を使い倒すこと。子育てのしやすい会社への転職、保険の見直し、社会保険の理解——これらは全部、未来の自分へのプレゼントになります。

キャリアと個人の稼ぎ

「お金」「キャリア」「時間」の中で、一番影響を受けたのはキャリアです。

もともと会社員に拘らず、転職回数も多い私だから、給料は給料でもらい、「フリーで働きたい」という気持ちが常にありました。こんなに早く妊娠するとは思わなかったけど、それがいい準備期間になりました。

育児中でも、仕事を辞める気はない。むしろ、子どもとの時間を増やすために、個人で稼げるようになりたいと思っています。保育園での時間も、お子にとっては大事な社会経験。完璧に一緒にいることが愛情じゃなくて、朝と夕方、土日にたっぷり愛情を注ぐ方が、長期的にはお子の選択肢を増やせるはずです。

周囲に頼る勇気・発信すること

出産直後、予想外だったのは、移住したてで知り合いが全くいない富山での孤立感。実家に何度も電話しました。でも、そのおかげで家族との絆が深まったのは意外な収穫でした。

また、出産後、一番予想と違ったのは、夫の職場の残業が多すぎることの影響でした。毎日、私がワンオペで育児と家事。加えて、夫の洗濯・食事・掃除まで。何度も雷を落として、やっと朝の分担が着地しました。

大事なのは、困っていることを誰かに伝えないと、手伝ってもらえないということ。パートナー、行政の人、家族、友人——誰かに話すと、思わぬ情報をくれます。

「世間一般の正解」に捕らわれないこと

地元じゃないからサポートが無くて大変だろう、と心配されます。でも実際には、一時保育も充実しているし、自治体のサポートも多い。むしろ、気を使わない分、自由にできています

育児の方針も、世間一般と異なるかもしれません。お子同士の関係の中で、本人同士で「ごめんね」を言うように促す。親がすぐ介入しない。親子センターでも、お子にはお子の社会関係があると思うから、危ないとき以外は見守る。

お子の成長を見ていると、親のエゴだけで判断してはいけないと強く感じます。

パートナーとの信頼関係

育児が想像より穏やかだったのは、お子がよく寝てくれる子だったから。その時間で不要な保険、銀行口座、クレジットカードなどの人生の「断捨離」ができました。

ただ、職場環境の問題で家事分担がうまくいかなかった時期は本当に大変でした。女性のキャリアが制限される根本には、男性の職場環境の問題がある。パートナーとの関係を築く際に、こうした構造的な問題まで見えることが大事です。


漠然とした不安から抜ける方法

もし妊娠して漠然とした不安を抱えているなら、一つのアドバイス。

その不安を、ひとつひとつ紐解いてください。「ちゃんと育てられるか」は、実は「お金があるか、環境が整っているか、サポートが得られるか」という、小さな問題に分解できます。小さくなったら、調べて、動いて、解決できます。

ネガティブな感情になったら、太陽を浴びてください。眠れない夜は、ホットミルク、甘酒、豆乳を飲んで、波の音でも聞いて早く寝てください。

そして何より、ひとりで考えないこと。とにかく発信してください。

妊娠・出産・育児で本当に大事なことは、完璧な準備じゃなくて、不安を紐解く力と、周囲に頼る勇気だと思います。

※出産育児一時金や高額療養費制度などの内容は変わることがあるため、最新の制度は各自でご確認ください。